私の勤務先は職員が少ない割に血液型はコンプリートされている。
 

人々は私のことをB型だO型だと罵ってくるが、どこからどう見てもA型である。
神経質であり、小心者であり、極度の人見知りである。
一見適当そうに見えるのは、組織のストレスの捌け口を一身に背負うために
そういう振る舞いを求められ続けてきたからであり、
A型特有の「空気を読む」の成れの果てなのだ。
 

タチの悪い方に振り切れているB型の理事長は言わずもがなただの理不尽暴君であり、
メンタルが強いふりをして彼の要望に笑顔で応じているが、
心の中はいつもボロボロである。
そして
「ここで俺のことデブ系のネタでいじれよ。」
という空気を瞬時に察知し、その通りに演じなければいけないので、
いつも緊張感を持っているのはつらい。
 

AB型の事務局長はA型という同じ種別のシンパシーを感じつつ、
突如Bの血が入ったりするので読めないし、
O型の部下は新入社員の割に飄々としておりO型特有のおおらかさなので、
何か気付いていないところで問題が起きていないかハラハラしているのである。
 

最近入ってきた2名の職員は血液型を語る以前に爆裂すぎるのでここでは語る余地もない。
目の前の席の職員はいきなり
「昨日のセ・リーグの打率上位5人は?」
などと聞いてくるので、期待を裏切らないように胃を痛めながら
毎日昼食中にヤフースポーツで成績を暗記しているのである。
 

こういった連帯感のない面々を実は土台で支えつつ、
その場その場で求められる役割に变化し調整をせざるをえないのは
A型の宿命なのである。
他の血液型たちは決して気付かない。
こうした毎日を過ごしているため、家に帰れば対人疲れで倒れこむように寝ている。


あぁ、本当の自分はどこに…。
A型はつらいよ。
分かったか…熊め…。