「この11枚の券しかないから、どう使うかよく考えて。」

王子動物公園の中にある小さい遊園地。1000円で100円券が11枚ついてくる。
1つの乗り物に乗ろうとすると、2~3枚使うことになる。

4歳児の息子は考えた。

父ちゃんと一緒に乗ろうと思えば2倍の券がなくなる。
一人で乗ればたくさん乗ることができるけど、あまり楽しくない。

彼なりに一生懸命迷って考えて決めて、11枚の券を使った。
そんな2016年のお正月。

「この11枚の券しかないから、どう使うかよく考えて。」
偉そうに息子に言ったけれど、これは自分にもあてはまること。

よく色んな場所で書かれているが、何かを選ぶということは、何かを捨てること。

2015年は、これまで生きてきた中で一番長く影響を受けた場所を離れた。
農村での生活や仕事への興味、そして子育ての時間を選んだ。

実際、以前よりも子どもといる時間は大分増えた。
家族に対する後ろめたさも、(若干は)減った気はする。

でも、子育てだワークライフバランスだなどと言わずに、ひたすらに仕事に打ち込んで努力をして、大きな何かを掴んでいる人もきっとたくさんいる。客席にホームランをかっ飛ばすあの打者たちには、ワークライフバランスなどというものはない。

何もかもは選べない。

11枚の券は、きっと時間のようなもの。
11枚の券で何を選択するかは自分に委ねられている。
そこで父ちゃんに任せてしまったら、きっと後で不平不満を言うだろうから、
「自分で決めなさい。」
と息子に言う。
果たして父ちゃんはちゃんと自分で決めているだろうか。

退職してから、色んな人にありがたくもお世話になりながら、何も定まっていないまま繋げて繋げて新年を迎えた。

11枚を全部一気に使って勝負する男気のある人もたくさんいるだろうけど、自分には何百万何千万と銀行でお金を借りて会社を作るような度胸も器量もない。1枚1枚小さな挑戦を重ねていきながら、選択するものを見つけていく1年にしたい。

「小さく始めてください。たくさん始めてください。失敗したらビールで乾杯すればいいじゃないですか。」

2年前の地方で仕事を創る塾で藤村先生に教えてもらったこと。
何かを始めようとしたり発信したりする度にやっぱり少しびびるけれども、この言葉を思い出しながら11枚の券を無駄にしないように1年を過ごそうと思う。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
20160102_121242