■前回までに書いた仕事

2つ目の仕事は、茅葺きの屋根を葺き替えている「くさかんむり」の現場。
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9月末に退職して、農村定住コーディネーターの仕事はあったけれど、それだけでは到底食べていけないので、
「うまく仕事が繋がるまではもう1つ街の方でバイト探すしかないかな・・・。」
と思っていました。

そんな折、くさかんむりの親方である相良育弥さんから、
「すぐには仕事うまくいかんやろうから来れる時来たらええよ。」
と言っていただき、現場のメンバーに加えてもらうことになりました。
 
相良さんとは、淡河ワッショイで何度か顔を合わせたりイベントの準備を一緒にさせてもらっていました。自分のやりたいことや目指したいことを長々と喋ったことはないのですが、何もかもをすっと見通してくれたかのように、週2回というわがままな入り方で仲間に入れてくれています。 

兵庫県には、所々に茅葺きの民家や文化財が残されています。
茅葺きが魅力的なのは、材料がすべて土に還ることです。20~30年に1度葺き替える必要があるそうですが、屋根は茅(かや)や竹、わら縄などで作られているため、それらはすべてまた土に還って肥料になっていきます。今までは仕事に価値があっても環境に負荷をかけているよなぁという後ろめたさもあったのですが、こんな仕事があるもんなんだなと思いました。そんな茅葺きを大切に守っていくためにも、葺き替えの職人さんの存在はとても大切です。

葺き替えの現場では、屋根に上がって屋根を葺き替える職人さんの他に、ススキやヨシなどが束になっている茅(かや)を屋根の上に運んだり、次の作業の準備をしたり片付けをしたりといった「テッタイ」という役割があり、それをやらせてもらっています。
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(こういう束ねたものを「茅(かや)」といって(結構重い)、これを投げたり運んだりします。1回に400束などまとまって業者さんから運ばれてくるので、投げ続けて朦朧としてくると大型魚の水揚げをしているような錯覚に陥ります。)

「ここは違う国なのだろうか・・・。」
と思うくらい分からない言葉が出てきて、覚えるのに一苦労です。また手先が不器用なのと空間把握能力が著しく欠如しているので、紐の結び方などの習得が難しすぎて泣けてきます。

一方で、今までは人と話したりパソコンの前でパチパチするような仕事ばかりでしたが、こうして1日中身体を動かすという仕事は全く別の世界でおもしろいです。身体を動かす仕事なので、休憩する時間や終わる時間もきっちり決まっています。どうしてもダラダラ長時間してしまうパソコンの前での仕事に比べ、ちゃんと1日1日が繋がっていて仕事を進めていくのだという空気感がとても好きです。
また純粋に、身体を動かして腹減ってご飯をしっかり食べて、くたくたになって寝るというのは、人間の本能としてとても気持ちがよい営みだと思います。

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(屋根裏。)
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(「めくり」と言って、古い茅を取り除きます。古い茅の一部は、新しく葺き替える際にも使われます。雨が当たる面は朽ちていますが、中に収まっていた部分は20年経ってもしっかりしているので驚きます。)
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(一段一段葺き替えていきます。)
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(これが20~30年経ったくらいの茅葺き屋根。)
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(葺き替えるとこうなります。黄金色に輝く美しさ及び自分のカメラ技術のなさに涙する。実際はこの数十倍きれい。息を呑むとはまさにこのこと。)
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(こちらは遺跡公園の竪穴式住居。もはやただの茅葺きファンと化す。)

分からないことばかりですが、職人さんたちもおもしろい人たちばかりで楽しく仕事をさせてもらっています。