■前回までに書いた仕事

3つ目の仕事は、淡河町内でベーグルと蒸しパンのお店を開いている「はなとね」さん。
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(見よ、この最強の佇まい。)
 
2年ほど前、自分たちとほぼ同じタイミングで移住してきた方々が、町内でベーグル屋さんをするとの情報を聞いた。

個人的にあまり好きではないキーワードに「ベーグル」や「パンケーキ」というものがあった。
「・・・ベーグルって、パンだろ!?」
「・・・パンケーキって、ホットケーキだろ!?」
といつもテレビを見ながら思っていた。2時間かけてでも今はやりのパンケーキ屋さんに並ぼうなどと言わない女性と結婚して良かったと心底思う瞬間である(いや、偏屈旦那といる時に行ってないだけかもしれない)。

それに見事に合致してしまったベーグル。
「ベーグルて・・・。食パン売ってくれないんかな・・・。」
とちょっと斜に構えていた。

そして、古民家で女性が好きそうなベーグル屋を開くなんて、きっとおしゃれでイケメンでいけ好かない野郎に違いないと勝手に思っていた。
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(出典:http://slism.net/lifehack/qualification-of-bakery.html)
こんな感じ。イケメン+焼きたてパン=無敵。しかもこの人筋肉もムキムキそうじゃないか。

そんなよろしくない先行イメージの後、ある日家にお呼ばれして出会った店主の村上さんは、
「鶴巻さん、人と関わって仕事するの苦じゃないんですか?すごいですね。僕は一晩中一人でパン焼いててもまったく苦じゃないんですよ。パン生地はね、ネゴシエーションとかいらないんですよ。
という伝説の名言を残したとってもおもしろい人で、移住仲間としてもすぐに意気投合して仲良くしてくれています。働きにいっているというよりは村上さんに会いにいってるような感じかもしれません。

元々はなとねは、マンションの1室で冷凍のパンを通信販売するところから始まったそう。
パンにはミルクや卵が含まれているので、例えばドーナツ屋さんに行くと、アレルギーのある子は食べられないので、親も別のものをわざわざ用意するか食べさせないかということになってしまう。それをなんとかしようと思ったのが、小麦も卵もミルクも使わない米粉の蒸しパンだったりする。

これまでNPO法人で働いていて色んな社会課題を知る機会があったけれど、ふと足元を見ればこういうことに困っている人もいるんだなと知って、何もNPOなんて旗を掲げなくともその課題解決に対して実践している素敵な人たちはきっと世界中の至るところにいるんだろうなぁと改めて感じることとなった。

このはなとねには2つの強烈な武器がある。
まずはロケーション。築260年と言われる茅葺き民家は、そこにいるだけでわくわくする。子どもたちも庭で遊べるので周りを気にすることなくゆっくり過ごすことができる。
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(縁側が最高。)

もう1つは、そのベーグルや蒸しパンの味。
村上さんが他人の手を一切借りず、徹夜という荒行の元すべて自分で焼き上げたべーグルや蒸しパンは本当に絶品。決してロケーション勝ちしていて味は普通というお店ではない。むしろまずベーグルに大きな価値があって、それにロケーションも加わっているというのが正確な表現だと思う。
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(出典:はなとね通信 ※いつも買った瞬間食べてしまうので写真が手元にない。)

これまで本当においしいパンを食べてこなかっただけかもしれないけれど、はなとねのベーグルは本当に心から、
「うめー。ただただうめー。」
と感動してしまうベーグルです。

はなとねは週末の営業だけなので、仕事を辞めた時にふと話に行って、月の何回かだけ働かせてもらうことになりました。
 
徹夜という荒行を繰り出している村上さんは、開店後の怒濤のお客さんラッシュが一段落着くと寝てしまう。
そこで、31歳の同じような属性の男が店番をしていると、
「どうしてここでお店開こうと思ったんですか?」
「このベーグルはいつ頃から焼き始めているんですか?」
などという質問が飛び、完全に店主と間違われる事態が発生する。
 
「いや、ただのバイトです!パン焼けません、ははは!」
という返答をすると、
(え!?おっさんバイトかよ!?生活大丈夫!?)
という心の声が聞こえそうであるが、みなさま表面上やさしく受け入れてくださっている。

はなとねは小商いの素晴らしいお手本で、書きたいことがたくさん。
とりあえず今回はここまで。
ぜひ淡河までおいしいベーグルと蒸しパンを食べにきてください。