インターンシップの研修の流れで、最終日は「地域仕事づくりプロデューサー会議」というものに出席した。既に地域で色々取り組んでいるのでこちらの方がむしろ当事者意識があり、まちづくり系の本をむさぼるように読んだかつての日々を思い出したように刺激的な1日だった。

基調講演で東京都市大学の佐藤真久さんのお話からちゃんと記憶に残しておきたいことをいくつか。
まちづくりというとどうしても事例ばかりのインプットになってしまうけれど、久しぶりに少し高いところから理論や現在世界で考えられていることを知ることができておもしろかった。忘れたくないと思った話を聞いたのは久しぶりかもしれない。

●現代はVUCA時代である
-Volatilty(変動性)
-Uncertainty(不確実性)
-Complexity(複雑性)
-Ambiguity(曖昧性)
この時代背景は、2年前の「地方で仕事を創る塾」で藤村先生から何回も教えてもらったことであり、今後さらにこうなっていくであろうという予測がある。自分は「複業」という形で生活しているが、おそらく20年前だったらお前アホだなと言われるしそれに対して返す言葉もないと思うけれど、少なくとも今後のあまりに不確実で曖昧な世の中を考えると、臨機応変に変化していける働き方や生活の仕方をもっと考えていく必要があるように思う。

●「ありたい社会(持続可能な社会)」→「ありたい社会」×「ありうる社会」(持続可能な社会×レジリエントな社会)
様々なことが「ありうる」という危機管理の前提で社会や地域を作っていく重要性。人口が減っていく中で「こうありたい」も重要だが「ありうる」をどう未然に見抜き、対策を立てていくか。

●状況的、文脈的、協働的、内発的取組の重要性
→個人能力、組織能力、市民能力の同時的向上
→貧困・社会的排除問題と地域環境問題の同時的解決
→資金投入を前提とした事業成果からの脱却
これは特に地域活動で考えていきたいことだが、継続的に続けていくためにも、補助金等の資金投入は初期段階のみにして、数年後に自走するために利益をどう生み出す形にしていくか初年度から予算設計すること、また地域活動で金儲けかよと思わせない地域の風土作りと成果の在り方をもっと考えていく必要がある。想いは最重要だがそれだけでは続けられない。そしてみんなで学び続け、それを地域に波及させていく。

●協働における補完的エージェント機能
→【スペシャリスト】:特定のサービス領域や関心領域、専門領域に特化したサービスの提供。(例:技術系企業、テーマ型NPO、テーマ型公共施設)
→【ゼネラリスト】:特定の地理的地域において、一般包括的な支援を幅広く提供(例:地縁組織(町内会など)、地域密着型NPOなど)
これは淡河ワッショイはすごくうまくいっている事例ではないかと思う。どちらかというと団体はゼネラリストの形でありながら、個はスペシャリストが集っているのでなんでもできる強みがある。今はそれぞれが個人のスペシャリストという形なので、さらに淡河町内でインパクトを出していくのであればもう少し中規模の技術系企業などと協働する必要性も出てくるのかもしれない(それがまちづくりとして楽しさを感じるのかは分からない。小さくとも自分たちで試行錯誤していることに意味があるのではと最近思ったりする)。

・地域戦略プロデューサーが獲得すべき4つのレンズ
①統合的レンズ(事象・取組の関連づけ・統合化)
②文脈的レンズ(グローバル/ローカルな文脈化)
③批判的レンズ(多角的な意味づけ、課題の捉え直し)
④変容的レンズ(個人、組織、社会、ガバナンスの変容)
特に③、④の力を高めたい。話の中に、
「防災というのも結局は人と人との関係性なんですよ。防災訓練やってればそれでいいという話でもないですよね。」
ということがあり、まさに地域の消防団の世代交代などの課題を考えた。
既存の仕組みの中でどうするかというのではなく、本質的な課題はどこなのか、消防団を組織する意味づけは防災以外にあるのか。その本質や課題が解決できるのであれば、消防団という枠組みである必要はないのかもしれないなど、様々なレンズから目の前のことを客観的に捉えなおすということがさらに要求されてくるのではないかと思う。