今回は久しぶりに茅葺きのお仕事のことを。
週に2回ほど、茅葺き屋根を葺き替える現場で働かせてもらっています
 
今の現場は、葺き替え(すべての茅を剥がし、新しい茅で屋根を作る)ではなく、半分くらい寿命のきた屋根を1回修復するような作業をしています。
 
僕は職人ではなく手伝い(てったい)なので、普段は材料を運んだり屋根の上に上げたり職人さんの次の作業の準備をしたりといったことをしていますが、たまーに屋根に上って作業をさせてもらえる時があります。

IMG_0986
現状の屋根はこんな感じです。

IMG_0988
屋根の表面部分は当然ながら雨風あたり朽ちているものの、引き抜くとなんと10年も20年も前の茅がしっかりした状態で現れます。

IMG_0989
ズーム。先が黒ずんでいるので、はさみでカットします。

IMG_0990
厚みを保つために、新しい茅を差し込みます。右半分と左半分で色がやや違います。右が新しい茅です。左半分も先っぽははさみで切っているので、黒ずんでいる部分はほぼなくなりました。

この後、引き出した&新しく差した茅を「たたき(叩き?)」という道具でトントン中に押し戻していくと(これがもう全然よく分からず難しいのです)、
IMG_0992
こんな状態になります。先人の知恵半端ねぇ。これでまた屋根の寿命が延びるわけです。
 
最初茅葺きの現場に来た時に、草を重ねて雨を凌ぐという事を考えた先人に改めて驚いたけれど、この差し屋根の工法を教えてもらった時に、昔の人って本当にすごいなとただただ感動したのを覚えている。
  
今を生きている中で次々に生まれてくるテクノロジーは素晴らしい。大いにお役に立っています。
一方で、自分たちの周りに何があるのか把握し、そこにあるものの特性を知り、あるもので何とかし、しかも少しでも長く維持できるようにという知恵は、それはそれで驚愕に値するものだと思うし、今の人類が一番賢いとも思えなかったりする最近。

この屋根は子どもたちの保育園の通学路にあって、屋根の色が少しずつ変わっていくのを子どもたちも毎朝夕楽しみにしている。
こうして少しずつ変化していくというあり方も、またよいなぁと思います。