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庶民の下戸にとって、数か月に1度の楽しみが茅葺きの現場終わりの焼肉食べ放題である。
 
「つるちゃん、そろそろ、あれ行く?」
という悪魔の誘いが弟子の一人である阿部洋平氏(仮名)から入る。

現場のヒエラルキー的には、
親方
弟子(3名)
てったい(数名)
なのだが、なぜか開催の起点はてったいの鶴巻になっている。

「うへへ、ついに来ましたね。やりましょう。」
ということになり、開催が決まる。

常にテーマを持って生きるというのはとても大事なことだと思っており、未だ高校生の頃の如く、
「どうしたら1枚でも多く食べられるのか。」
という問いに対して仮説を持って取り組んでいる。

ただでさえ現場の仕事である。
事務仕事の日とは比べ物にならないくらい腹が減る。
昼の弁当の米をぎゅっぎゅっと口に詰め込んでいく感覚はまさに部活をしていた頃を思い出す。
こんな状態で食べ放題に行けば無限に食べられるのではないかという錯覚に陥る。
 
しかし、ライバルが立ちはだかる。
ここでキーになるのも阿部氏(仮名:40代)である。
 
とにかく食べる、呑む。
2時間の飲み放題で湯水のごとくビールを呑み、肉を食らう。
そして、みなが
「もう食えない。」
という終焉を迎えるときに、カルビ3~4人前と熟成肉のガーリックバターライス(もうご飯の上に肉乗ってくるとか意味不明じゃないですか?)という孤高のラストスパートを放つ。
王者に食らいつく箱根駅伝のランナーが、ラスト数キロで王者のラストスパートに絶望するようなものだ。以前100均でカウンターを買って食べた肉の枚数をカウントしたが、数字での明確な敗北は心に刺さる。
  
そして最後に、
「偉そうな口叩いてしょぼいんだよ君は!」
という捨て台詞を吐かれ終わる。

悔しい。
勝ちたい。その気持ちが人を成長させる。

そして毎回、入り方を変える。
昼食を抜いたり、朝食を抜いたり(みんながこういうことをしているので、出張に来ている職人さんに「バカだよね。」と冷笑される)。
 
しかし最近気付いたことは、昼を抜くと、猛烈な空腹感のまま突入し、すごい勢いで食べるが限界が早く来てしまうような気がするのだ。
 
今回は、
・妻に「弁当の量減らしてください。」というのを忘れ、がっつり昼食を食べてしまったこと。
・雨が降ってきて現場が15時で終わり、いつもよりエネルギー消費が少ないこと。
・17時開始というかつてないほど早い開始になってしまったこと。
 
などの悪条件にさらされたが、なぜか驚くほど食べられたのだ。
モチベーションの上下で仕事の質が変わる奴が終わってるのと同様、最初に燃えるように食べて失速するのではなく、淡々と同じペースで美味しく嗜み続けると、ラストオーダーの時にも、まだまだいけることが判明した。 
 
今回は人数が多く、阿部氏(仮名)とテーブルが離れてしまったため、勝負の行方は分からなかった。
 
次回は、
「朝も昼も淡々と食べ、肉も淡々と食べるとよい。」
という科学的根拠を得たので、最後にパフェではなくガーリックライスを頼めると思う。