P_20190315_141122_1
先日、卒論の調査ということで、ある学生が淡河に来てくれた。
以前にも何度かこのようなヒアリングがあったが、完成した卒論を送ってくれるわけでなく、かと言ってお金をもらうわけにもいかないので、
「なぜそういうテーマで卒論を書こうと思ったのかを文章に起こして。それブログに載せるから。」
という交換条件で引き受ける。
 
こうやってわざわざ卒論のテーマにして、話を聞きにくる学生の社会の捉え方はとても貴重。
でもあんまり外には発信しない。いつも自分だけ聞いて「いいね~。」で終わる。
というわけで、こっちで発信してしまおうということで。
 
とてもいい文章。
でもそれを実現するためには、力がいる。仲間がいる。
 
力なき理想は無力だと教わった学生時代。
最近改めてその言葉が染みすぎてつらい。 
 
ぜひ社会に出ても、自分の信念を貫いてほしいな。

●神戸の地域課題に関心を持ったきっかけと今感じていること
私は神戸市内での自身の転居をきっかけに、神戸存在する多様な魅力を再認識しました。神戸市といえばポートタワーや美しい港の景観、おしゃれな街並みを思い浮かべる人が多いと思いますが、少し異なる地域に目を向けるとそこには温かな下町コミュニティや、子育て世帯で賑わう住宅街、そして豊かな暮らしが営まれる多自然地域が広がっています。
その一方で神戸市には人口や不均一な開発、経済、コミュニティの発達など様々な点において地域間格差があるように感じています。
例えば私がかつて通っていた小学校が廃校になりました。その傍中心地では大規模な開発が進んでいるのです。次第に本当に同じ神戸市の中の出来事なのかと感じる機会が多くなり、私の中で「本当に幸せに暮らせる地域ってどんなところなのだろう?」という漠然とした疑問が生まれました。

もちろん幸福を感じる瞬間は人それぞれです。
一生懸命働きより多くの収入を得ること、会社で成功することを幸せだと思う人もいれば、家族と過ごす時間や、暮らしの中のささいな出来事、美味しいものを食べることなど人には様々な幸福観があります。ですが人口減少が進む中で特に若者のライフスタイルは変化してきているように思います。
例えば自分の部屋の家具をDIYしてみたり、身に付けるものをオーガニック指向にしてみたり、食べ物の無添加にこだわってみたり。
Instagramで「#丁寧な暮らし」というハッシュタグの投稿が増加していることも分かりやすい例の一つです。これらに共通して言えるのは若者が暮らしの根幹に関わるところにこだわりを持ち始めていることだと思います。
社会全体で暮らしが一定の水準となってきた現在ならではの動きとも言えるでしょう。当然暮らしを成り立たせる上での一定の収入を稼ぐことは必要です。ですが"稼ぐこと"そのものよりも、幸福という観点から重きが"暮らし"へシフトされても良いのではないでしょうか。


●田園都市に関心を持ったきっかけと鶴巻さんのお話を聞いて考えたこと
大学で研究室に所属し、地域づくりについて学ぶなかで若者が「自分らしい暮らし」を求めて田園地域へ移住する動きがあることを知りました。また『農す神戸』という本に出会い、神戸市北区に移住し、いきいきとした暮らしと仕事の両立をされる方々の存在を知りました。
神戸市全体として人口減少するなか、北区の減少率も大きくなっています。しかし一定数の流入があるのも事実で、私はそのような田園都市への移住一つ一つにこれからの社会を持続させていくうえでのヒントが隠されているのではないかと考えています。

実際に従来とは異なる働き方で生きる鶴巻さんは、淡河で地域の人と繋がりながらきちんと収入を得つつ、ご家族との時間も大切にするというワークライフバランスが実現しているように感じました。
きっと答えは一つではありませんが「本当に幸せに暮らせる地域とは?」という漠然とした疑問への回答のひとつが淡河にはあるように思いました。
同時にたくさんの魅力をもつ神戸市ですが北区での充実した暮らしにスポットを当て発信していくことも必要だと感じました。
冒頭で述べたような成長・拡大指向によって広がった地域間格差もそうすることで是正の一歩となるのではないでしょうか。
現代社会において沢山の幸福の在り方があると思いますが、自身のライフスタイルに合わせて地域や働き方を選択し、それが許容されるような社会、そして神戸市に変えていくのが私たちの世代の役目なのではないかと感じました。