あれはお盆のことであった。
ひょんなことから、20代のほとんどを師事したといってもいい小太りのおじさん(能島理事長)に誘われ、家に赴いた。
 
あの当時、事務所がもはや家代わりだった怒涛の日々を過ごしていた師が、毎日夕方には家に帰ってるという。もう一生分稼いでしまったのか。さすがである。そして毎日夕飯を作っているという。
  
5年前、すべての覚悟を決めて、涙を流しながら、
「家族で夕飯を食べたい。」
と言って師の下を去った自分が虚しくなるようである。まさかこの人がこうなるとは。

話は戻り、集まった面々で夕食の準備をしていると、あるものが送られてきた。
某有名野菜通販の野菜セットである。師は1週間に1度家に届く野菜のお試しセットを頼んだようだ。

しかし、産地が関西圏だけでなく全国各地であったのと、量が微妙だった等により師の興味を引かなかったようだ。お金を持っている貴重な顧客を逃したな、某有名野菜通販。

その後、以下の会話が始まる。

鶴「それ頼むんだったら、神戸の有機農家グループが、『CSA(Community Supported Agriculture)』という作付け費用を前金制で受け取ることで、地域で農家を支えていくというすごいいい仕組みで美味しい野菜が食べられる方法あるんでそれにしたらいいじゃないですか。」
能「それめっちゃいいやん。頼むわ。」
鶴「あ、尼崎配送圏内入ってないっすね。ドンマイ!」
能「っていうかお前が俺のために野菜セット作れや!」
鶴「(嫌だ…)いやー無理っすよ。夏野菜も1回持ってきましたけどあの後イノシシにほぼ全部やられたんですよ。電柵とかしないと無理なんですよ。」
能「じゃあしろよ。」
鶴「(出たな暴君…)いやいや、あのちょっとした畑に野菜作っても仕事にならないんで、そのために電柵買えないっすよ。」
能「いくらぐらいするん?」
鶴「あの大きさでもぐるり囲んだら5万とかですよ。ね、結構高いでしょ?」
能「出すから作れ。」
鶴「は?」
能「後でPayPayとかのアカウント教えろ。」

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………キャッシュレス化とは恐ろしいものである。プロフィール写真的にもらってはいけないお金を受け取ってしまったような気分。圧がやばい。
 
この瞬間、前金制で農家を支えるCSAの派生版「NST(Nojima Supported Tsurumaki Farm)」が誕生した。
これから師に5万円分の野菜を届ける義務が発生した。ちょっと気が重い。

後日、電柵を買いに行った。
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我々の思惑は完全に一致しました。

というわけで設置。
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うーん、でもこれでイノシシから完全に作物が守れるのであればありがたい!
ありがとう能島!やる気が湧いてきた!

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能島の小松菜。

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能島のブロッコリー。

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能島のキャベツ。

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能島のニンジン。

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能島の白菜。

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能島の大根。

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……能島???

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能島………………草。
 
がんばります(うまくいかずサツマイモ5万円分になっても許してください)。