企業と学生を長期のインターンで繋ぐプロジェクトから派生し、「地域(自分の故郷)で何かプロジェクトを作ることが学びに繋がるのではないか(しかも故郷での活動であれば簡単に逃亡したりしないのではないか爆)」という仮説から、昨年助成金を申請し、『Fighting Spirit for My Local』という場を作った。もやっと楽しいイメージよりは、立ち向かってほしいなという意味合いも込めて。
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このような建て付けで募集をかけたところ、7名という本当にちょうどよい人数が集まり、昨年の9月頃から活動がスタートした。
7名の10か月の取り組みを紹介したい。

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①藤田みのり(兵庫県多可郡多可町)
昨年みのりちゃんがインターンをしていた時、元々のインターン内容とは関係ないところで「自分の地元で何かしたいんです。」という話になり、面白いかもということでそのままやってもらうことにした。
地方のスポーツ環境は、野球やサッカー、そして男の子中心ということで、「女の子向けのスポーツ教室をやってみたい。」という面白い目の付け所だった。そのまま毎月1回故郷に帰り、子どもたちにスポーツの場を提供している。
今回の集まりではその派生版で、もっと地域の人を巻き込みたい+地元の歴史を知ってほしいということでチャンバラ合戦を企画。徐々に広がりを見せる活動。社会人になって休日に何かをするのは体力がいるけど、ボチボチでいいので続けていってほしい。
自分自身がコミュニケーション無精なので、インターンなどが終わると関係が終わる学生も多いが、彼女は自分が伝えることをしっかり受け止めてくれるというか、彼女自身に色々救われてきた部分もあるので、引き続き色々と繋いでいきたい。

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②佐藤伸哉(神戸市東灘区)
このメンバーの中で、最も世の大学生の感覚?に近かったしんしん。この場所では、何かをやらねば!という意欲で来てくれた。
彼自身は、幼少期に家族で出かけ、映画や食事を楽しんだ六甲アイランドの元気がなくなっていくのがさみしく、何かできることはないかという課題感だった。こういう出発点はリアルでとても面白く、何とか形にしたいと思っていた。しかし、3名ほどの方にインタビューをした後活動への参加が少なくなっていき、結局そのまま就活に突入し、形に残ることはできなかった。一方で、彼自身最後の報告で「コンフォートゾーンから抜け出さないと、機会は掴めないし、学びは深まらない。」と気付いてくれたし、「大企業=正解と安易に考えていたが、ここでの活動を通じてそれが固定概念だというが分かった。逆に大企業への批判の情報も聞く中で、自分は大きい会社に入って他責にならないような生き方がしたい。」と決意をしてくれた。ぜひいつか、快くインタビューに応じてくださった3名の方に恩返しできるような活動をしてほしいと思う。


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③山本皓太(広島県福山市)
大学に入って、色々なことがかみ合わず、さみしさを感じていたときに、農家ホームステイや地元に救われたのが出発点のモナ。
当初は、その恩返しで、地元農家の所得向上や後継ぎ問題を何とかしたいという課題感を持って参加。しかしその後、この集まりや様々な場所でサービスを考える中で(彼は起業に向け色々と動いていた)、農家ではなく、やっぱ飲食?では神戸の飲食店を紹介するサイト?と色々と二転三転した。そして最近は、かつての自分が直面した「さみしさ」を少しでも和らげるようなサービスができないかと、農や食とは全く離れた場所でサービスを作ろうとしている。
どうしても人は手段にこだわりがちになったり、学生起業!となると頑なな学生も多いけれど、モナは人の助言を受け入れ、自分でも深堀りして、日和見ではなく、いい意味で柔軟に自分のやるべきことを考えている。彼の今考えているサービスは面白い。公開できるようになったらぜひ使うよ。


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④山本修太郎(兵庫県美方郡香住町)
もう既に自分の地元で色々と活動していたしゅうちゃん。彼の場合「まちづくりやりたいんです!」とゴリゴリに燃えて動いた後に、じんわりもっと大事なことに気付いた40~50代の思想という感じ。なぜこんなに若いのに、既に1周回った感の気付きや考えができているのか、本当に末恐ろしい青年である。
彼はこの期間中に「僕らの武道館フェス」という多世代の音楽フェスを行った。同世代だけの閉じたコミュニティでやるのではなく、若年世代とまちの先輩が地元の文化会館を舞台に関わりながら、いつかこの会館を地元の高校生が目指すステージにしたいという想いで実施。当日は老若男女が入り交じり、とてもいい空間ができていた。
また地元の方々に丁寧なヒアリングをする「しとしと」というサイトもまた読みごたえがある。4月から東京で働いているしゅうちゃん。いつかまた地元に戻った時に彼が何を始めるのか。とても楽しみだ。


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⑤森美月(福岡県福津市)
博多へのアクセスがいいということで、全国で2番目の人口増加率を誇る福岡県福津市。増えることでの課題というまた他の地域とは違う観点。
かつて森ちゃんの原点になっている子ども会の活動が、これらの要因によってうまく機能していないということで、子ども会の新しい在り方を模索した。実際に「ふくつチャレンジ部」という小学生から大学生までが所属するものを立ち上げ、地元の方々との交流を子どもたち自身が考えながら生み出そうとしている。彼女の場合、高齢者福祉にも強い関心があり、子どもの親だけで子ども会の運営を組織するのではなく、地域の高齢者の生きがいとしても繋げられるではないかと色々と動いている。
町には、制度不良を起こしているシステムがたくさんある。NEO子ども会、NEO〇〇…という形で現代に沿った在り方の事例をぜひ作り上げてほしい。森ちゃんはこれだけ色々と活動しているのに、大学院へ飛び級するほど学業もしっかり。これもまた超人(僕は無理でした)。でも本当に柔らかい人柄で色んな人を包んで巻き込んでいく森ちゃん。全国に波及するようなNEO子ども会の事例を作れるはず!


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⑥濱田祐太(京都府与謝郡与謝野町)
濱田くんと最初に会ったのは、数年前ドットジェイピーという政治家のインターンを学生にプレゼンしてるときで、その圧倒的なスピーチ力に「あぁ絶対政治家目指してるやんこの子。」と思うほどの自信に満ちた感じであった。ただよくよく話を聞くと、高校まで勉強もスポーツもイマイチだった濱田少年が、地域でボランティアをしたときに、地域の色んな人から必要とされたのが彼の人生の転機だったようで。そういうのいいなぁ。
彼は今既に界隈では大注目の地域系若手プレイヤー。正直この集まりで彼に何か得るものを与えられたかは怪しいが、最後の成果発表会で「他のメンバーのプロジェクトを横目で見て、『自分がやりたいこと、面白いことってなんだろう。』って考えるきっかけになった。」というのはとても嬉しかった。ニーズからビジネスモデルを構築するのはもちろん王道なのだが、一見仕事にも繋がらない意味がなさそうなものにも、地域を元気にするエッセンスが詰まっている。ぜひそのバランスを取りながら、丹後で暴れてほしい(最近会社を立ち上げました!

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⑦藤井立空(兵庫県芦屋市)
さすが芦屋市民。バレエ、ピアノ、ヴァイオリンと何刀流?もの教養を持つりくちゃん。彼女の課題感も「芸術の敷居の高さを何とかしたい」「習い事としてやっている子どもの『やらされてる』感をなんとかできないか」と面白い観点。
最初に彼女は、クラシック音楽の敷居を低くするために「Barでクラシックとかどうですか?」と提案してきたが、郡部出身の男子たちから「Barもクラシックも敷居高いわ!!」と総ツッコミを受けた。そこでメンバーとの雑談から「おでん」「ラーメン」などのキーワードが浮上し、「クラシックの聴けるラーメン屋」というプロジェクトを、地元芦屋のお店の協力を得て立ち上げた。まず1回目からうまくはいかないので「申込が2名、3名でも、その人たちに圧倒的な感動を提供するんだよ」的な名言を言いたかったが、初回からなんと30名を越え、先日の3回目は40名を越えるという大盛況ぶりである。
地元の人と人がこの場所から繋がっていくことの面白さを体感したりくちゃん。その喜びに勝るものはなかなかない。今度はぜひ習い事をやらされている状態になっている子どもたちに、この場で演奏させてあげてください。


こういう活動は、直接ビジネスに効いてくるような特効薬ではない。
後でじっくり効いてくる、いや効いているかも分からない漢方のようなもんだが、これからのそれぞれの道に効いてくるといいな。
 
助成金がこれで一旦終わってしまうのだが、新しいメンバー加えてやりたい気持ちもあり、学生のみなさんは参加者として、大人の方はメンターとしてご希望あれば、ぜひご一報ください。